低コストの貴金属投資を考察(金・銀・プラチナ)

2016/05/02

資産運用

金投資をする上で最適な投資方法は何か、考察してみました。
金だけではなく銀とプラチナについても触れます。

貴金属投資の方法としては、貴金属ETF、証券会社や貴金属関連の会社(田中貴金属工業や三菱マテリアル)の提供する貴金属積立、そして現物保有が主な候補になります。
ETFは年率0.4~0.6%程度の信託報酬が掛かりますが、購入・売却手数料は少ないため、短期の保有に向いていると同時に、運用コストも大きくないため、ある程度長期の保有にも向いています。それに対して地金(インゴット)は購入・売却手数料やスプレッドコストがかかりますが、自宅保管であれば運用コストがかからないため、長期の保有に向いています。貴金属積立の場合は、運用コストが掛かるところと掛からないところがあり、一概に言えません。
それぞれについて解説します。

ETF

金投資であれば「純金上場信託(1540)」または米国ETFの「IAU」「GLDM」が候補になります。1540の運用コストは0.5%弱、IAUは0.25%、GLDMは0.18%となります。国内ETFでは「SPDRゴールド・シェア(1326)」も1540と同様の信託報酬ですが、出来高が1540のほうが高く、ETF特有の乖離やスプレッドコストが抑えられる可能性が高いです。米国ETFではIAUのほうが出来高が高いですが、GLDMでも十分な出来高があるのでコストの安いGLDMで良いと思われます。
銀とプラチナに関しては、それぞれ「純銀上場信託(1542)」「純プラチナ上場信託(1541)」が候補になります。運用コストはどちらも0.6%弱となります。ただし銀とプラチナに関しては金ETFよりも出来高がずっと少なく、流動性に劣ると思われるため売買の際のコストは少し高く付く可能性があります。米国ETFである「SLV」「PPLT」であれば出来高が多い利点があります。ただし運用コストは国内ETFとあまり変わりません。
実際にこれらのETFにどの程度の流動性があるかは、実際に証券会社のページにて取引時間中に板情報を参照し、買気配と売気配の差(スプレッド)及びそれらの注文数量を見ることで分かります。→ETFにおける市場価格との乖離について

米国ETFに関しては、購入には自ら為替手数料を支払って米ドルを用意する必要があります。流動性に関しては日本のETFよりもはるかに大きいため、売買時のスプレッドコストや純資産価格との乖離は抑えられると思われます。特に大金を投資する場合には流動性の高さが有利に働きます。

ETFの運用コストを測る際に、国内ETFの場合は信託報酬額よりも若干高い運用コストがかかります。運用コストには信託報酬以外に少し費用がかかるためです。実際の運用コストを見るには、運用報告書を見る必要があります。私が試算したところ、国内ETFの1540や1542などに関しての実際の運用コストは信託報酬額よりも少し高い程度で大きくは変わらないようでした。大体の運用コストは上記しています。米国ETFに関してはおそらく、記載の運用コストが実際の運用コストだと思われます。

積立

各社の貴金属積立は、購入時に一定の手数料が掛かります(2%前後)。また、売値と買値のスプレッドがあるので、これも手数料となります。
保有中の継続コスト(保管費や年会費)は掛かる所と掛からない所があります。
積立と言うものの、買いたい時に買う「スポット購入」というシステムが各社に存在します。
積立は、貴金属の保管方法によって「消費寄託」と「特定保管」に分かれます。
「消費寄託」は所有権が積み立て会社側に移り貴金属を運用するため、万が一会社が倒産したら全額戻ってこないリスクがあります。その代わりにコストが安い傾向にあります。
「特定保管」は、貴金属の運用をせず、積み立て会社の資産と分けて保管するため、会社が倒産しても全額返還されます。コストは高い傾向にあります。

積立ができる会社で注目すべきはSBI証券です。
購入手数料が税抜き2%と安く、その他の費用はスプレッド(売値と買値の差額)のみです。そのスプレッドも狭いです。
その上「特定保管」となっています。このコストのレベルでは他社なら消費寄託です。
手数料だけで見るならば楽天証券が最安となっており、購入手数料が税抜き1.5%となります。スプレッドの水準はSBI証券と似ています。ただし、楽天証券は消費寄託です。
また、田中貴金属工業は条件によってはSBI証券以下の手数料になります。ここは金とプラチナに関して特定保管です。

地金(インゴット)

現物保有には、コインと地金があるのですが、投資用としては加工代の低い地金(インゴット)が対象となります。
コインは小額から購入できますが、加工代は地金と比して高いです。
地金も小額(数十万円)であれば加工代が高く付きますが、一定額以上であれば加工代は無い、もしくは低くなります。
加工代のほかに買値と売値のスプレッドがかかります。

地金の加工代は一般的には少額購入では不利なのですが、「日本マテリアル」では金とプラチナのインゴット(地金)100gが手数料(加工代)無料で販売されています。
販売価格と買取価格のスプレッドは他社並みで、それ以外に手数料がかかりません。
これは他社にないサービスです。
100gというと、2019年10月時点で金は57万、プラチナは34万円です。
何百万円の大口の地金までは買わないけれど、この程度の金額なら買えるという投資家にとって、加工代無料というのは大きいです。
金またはプラチナの長期保有を目的とする投資家にとっては、最も良い選択肢の一つになりうるのではないかと思います。
ただし、それでも数十万円という購入単位となるため、時期を置いて少しずつ買い増したい、または少しずつ売り払いたいという希望には応えられません。
その場合はETFからのリレーで、ETFで一定金額がたまったらその金額分を地金にするといったことをする必要があります。

各商品の比較

では、それぞれの投資方法について、ざっとコストを比べてみます。
積立はSBI証券、地金は日本マテリアルでのコストを用います。
貴金属の価格が購入時と売却時で変わらないと想定します。
ただし銀地金については日本マテリアルでは販売をしていないため、ここでは徳力本店のものを引用します。

金:
ETF年率0.44%、SBI積立4%弱(購入手数料+スプレッド)、日本マテリアル2%弱(スプレッド)
プラチナ:
ETF年率0.55%、SBI積立7%弱、日本マテリアル4%弱
銀:
ETF年率0.55%、SBI積立8.5%、徳力本店1kg22%、10kg13%(購入・売却手数料+スプレッド)

全て税込みです。
銀については地金の加工代も高いですがスプレッドも各社高く、スプレッドだけで6%強くらいになります。田中貴金属では30Kgの銀地金があり、これは加工代はかからないと思われるので総コストは6%強になります。
上記の結果を見るとやはり日本マテリアルのコストの低さが際立っています。
ただし、絶対安全に貴金属を保管したいという場合、または少額から少しずつ買い増したいという場合にはSBIの積立も候補になります。
ETFは、概ね5~6年保有すると、日本マテリアルのコストと同じになり、それ以上の保有だと不利になっていきます。ただし高い安全性(現物を保有するETFの場合)と小額からの買い増しができる点はSBI積立と同じ利点です。

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