ETFにおける市場価格との乖離について

2016/05/02

資産運用

ETF運用の上で最も注意しなければいけないのは純資産価格(NAV)と市場価格との乖離です。
純資産価格(以下NAV)とは、ETFの保有する資産を時価評価したものです。
乖離はETFの種類によってはかなり大きくなることがありますし、国内ETFではほとんどの銘柄で大きな乖離(1%以上)が発生しています。
モーニングスターのホームページの該当ページ
http://www.morningstar.co.jp/etf/
では乖離率が確認できます。
東京証券取引所のホームページの該当ページ http://www.jpx.co.jp/equities/products/etfs/inav/
ではETFの基準価格となるNAVのリアルタイム値(インディカティブNAV)を確認できますので、一部の流動性の高い銘柄を除いて、これを見ながら取引をすることを薦めます。

ただし、いずれも国内資産についてのみの情報です。
モーニングスターのページでは、海外資産を保有するETF(先進国株式ETFなど)の乖離率も確認出来ますが、これについてはあまり参考にする事は出来ません。
NAVの計算には投資先資産の上場する取引所での価格が用いられていると思いますが、日本の取引所の開いている時間と、海外の当該資産の上場する取引所の時間はずれているので、乖離が発生するのは当然です。
基となるNAVは海外取引所が閉まれば固定されますが、時間が経てば情勢も動き、為替レートも動くので、違う時間帯に開く東京証券取引所での市場価格もまた違うものになります。
つまり、NAVと市場価格はリアルタイム値で比較されなければ意味がありません。

乖離率の発生を抑える方法としては、流動性の高いETFを選択する必要があります。しかし国内ETFでは流動性の高いETFは限られています。
出来高(1日の約定数)の多さは流動性の高さを表します。
もう一つの見方として、板の厚さを見ることで流動性を測ることも出来ます。
取引時間中に、証券会社のページから発注画面を開き、気配値を見ます。
売り方と買い方の提示する価格の差に注目し、このスプレッドが狭いほど流動性があり、有利な価格で売買できると見ます。
狭いスプレッドで、十分な注文数が出ているかどうかを見てください。
流動性の少ない銘柄は、スプレッドが開きやすく、コストが余計にかかります。これをスプレッドコストと言います。
実際に出来高は少なくとも、マーケットメイカーが常に価格を提示するよう努めている銘柄も多いようですが、流動性の低い銘柄ではやはり数量も少なくスプレッドも開きぎみになります。
ちなみに、マーケットメーカーが価格を提示するのはマーケットのオープン直前からだと思われます。気配値を見る時は、取引時間直前~取引時間中に見てください。
ただし、流動性があるように見えても純資産価格との乖離がかなり発生している銘柄もありますので、モーニングスターで過去の乖離率を確認し、その上でインディカティブNAVを確認しながら取引をすることを薦めます。

流動性の低い銘柄で注文を行わなくてはいけない時は、成行は控え、指値で注文することを薦めます。寄付や引けでの成行注文も良く検証してください。過去数日間のチャートを見て、寄付および引けでどの程度の出来高があるかを確認するのが良いかもしれません。常に十分な数量の出来高があるようなら行っても良いかもしれません。一般に引けよりも寄付のほうが出来高が多いため、寄付きでの注文のほうが安全な傾向にあります。

注意点として、「NAVと市場価格との乖離」と、「NAVと参照指数との乖離」を混同しないようにして下さい。貴金属ETFであればNAVと指数との乖離はありませんが、市場価格との乖離はあります。

国内ETFで流動性の高い銘柄は限られるため、あまり国内ETFを利用する場面というのは少ないです。それよりも海外ETFのほうが有用なケースが多いと感じます。しかし海外ETFは手数料が高いのがネックです。

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