海外ETFとは、海外の取引所に上場しているETFの事を指します。東証上場かつ外国資産に投資するETFをそう呼ぶ訳ではありません。
海外ETFは実質的に米国上場のETFのことを指します。米国ETFは種類が多く、魅力的な商品が沢山あります。
ネット証券(マネックス、SBI、楽天)で取扱いがあります。マネックス証券であれば小額投資でも安めに設定されています。
海外ETFを購入する際に注意するのは、分配金課税です。
これは私の理解の範囲での説明になります。
まず原則として、海外の資産に投資する際には、現地で分配金の源泉徴収が行われます。
投資先の国によって税率は異なりますが、米国株では軽減税率が適用されるので10%です。
この源泉徴収は国を跨ぐときに掛かりますので、米国株を米国ファンドが買うのみでは課税はされません。
米国株に投資する米国ETFを日本で購入した場合に、分配金の源泉徴収10%がなされます。
しかし、例えば全世界に投資する米国ETFを日本で購入した場合は如何でしょうか。
投資先の米国外の国から米国ETFが受け取る分配金に源泉徴収される → 米国ETFから日本で受け取る分配金に源泉徴収される → 日本で課税される
つまり、分配金の三重課税です。
外国税額控除といって、外国での分配金の源泉徴収額の何割かを、日本で課税される税額から差し引きする事が出来る制度がありますので、これを利用する事も出来ます。ただし、これは二段目のみで、上記の例でいうと米国ETFの出す分配金についてのみです。
正確には、ETFは分配金から経費を控除しているため、経費(Expense Ratio)控除後の分配金率の10%分が米国で現地徴収されます。
このような事から、いくら海外ETFの信託報酬が安いからと言って、安易に買ってはいけない事が分かると思います。例えば、全世界株式へ投資するバンガード・トータルワールド・ストックETF(VT)は分配金を仮に年率2%とし、そのうち半分は米国外からのものだと仮定すると、その部分は現地で源泉徴収された後米国内でも10%の源泉徴収が行われるので、トータルの資産に対しては年率0.1%の余分な課税が為されるという事になります。分配金率等は適当なので詳しくは調べて貰えればと思います。
VTが駄目だと言っている訳では無く、あくまで注意点として述べています。
まとめると、国内のETFで、海外資産に投資しているものであれば、源泉徴収は現地におけるもののみの1回で済みます。日本の投資信託でも同じです。
海外ETFで、それが上場している国から見て国外の資産に投資するものは2回の源泉徴収を挟みます。
米国ETFを購入する際は、米国内の資産にのみ投資する種類を選択すれば、1回の源泉徴収で済みます。
国内預託証券(JDR)とは、海外の取引所に上場されている株式を、それに連動した証券の形で国内の取引所にも上場させるものです。
JDRは原資産は海外ETFとなりますが、売買手数料や取引時間は国内の取引所での仕組みになるので利便性が向上します。
ブラックロックのiSharesシリーズのETFがJDRとして有名です。
このJDRですが、海外ETF同様に分配金の源泉徴収が為されますが、この税率が米国ETFの場合で30%となります。制度が整っておらず、10%の軽減税率が適用されないらしいのです。
このままではどうしようもなく使えない金融商品ですが、野村證券やSBI証券など、いくつかの証券会社では手続きをすることで分配金の源泉徴収を10%にする事が出来ます。