CFDの選び方

2016/05/02

資産運用

CFDとは差金決済取引の事で、FX(外国為替証拠金取引)もその仲間であり、投資損益の差金部分のみを決済することにより、現物を取引する際に必要な資金よりも少ない金額を元手にして取引を行えるシステムです。このように保有ポジションに比して少ない元手(証拠金)で取引を行うことを、レバレッジを掛けると表現します。
必ずしもレバレッジを掛ける必要は無いのですが、通常は資金効率の面でレバレッジを掛けることが多いです。
投資対象の商品は株式、株価指数(ETF or 先物)、商品(現物 or 先物)等があります。これをCFDというシステムに組み入れたものを、CFDと総称します。しかしその中身によって投資対象は様々ですし、CFD運用にかかるコストも変わってきます。

CFDの仕組みは一般の人からは分かり辛いため、押さえておきたいポイントを解説します。
特にコストに関しては複雑で透明性が無いことが多いため、気を付けて欲しいポイントです。

CFDはあくまでパッケージなので、その中に何が入るかで違います。
大きな違いとして、現物(スポット)に投資するものか、先物に投資するものかという違いがあります。
現物には、株式の個別銘柄、ETF、商品現物(スポット)などがあり、先物には、株価指数先物、商品先物などがあります。
どちらの場合でも金利がコストとして掛かるか、または受け取りが発生します。

現物(スポット)の場合、買いの場合は「投資対象の通貨の短期金利+CFD会社が設定する上乗せ金利」が金利コストとしてかかります。売りの場合は逆に「投資対象の通貨の短期金利-CFD会社が設定する上乗せ金利」が受け取れます。つまり、基準となる金利の受け払いに加えて、CFDを提供する会社の利益となる金利コストが加算されます。
短期金利はLiborレートを基準にしますが、何か月ものなのかは不明です。上乗せレートはCFD提供会社によって異なります。貴金属の場合はまた違った金利水準があるようです(株に比べてより低めの金利)。
また、株式の売りの場合は貸株料が別にかかります。
現物投資の場合、株式の信用取引とあまり変わらない仕組みであると思います。
ただし、CFD現物において金利が発生するのは日を跨ぐ時のみで、そのためオーバーナイト金利と呼ばれます。デイ・トレードであれば金利は通常発生しません。長期保有には不向きである事が分かります。
また、金利は日割り計算であるため、銘柄の取引単位が小さい場合には金利が365で割り切れず、切り上げられることがあります。特に一日に1円以下の金利の場合、1円に切り上げられた途端、本来の金利水準から何倍にもなった、ということが起こり得るので注意したいところです。金利カレンダーは是非参照して下さい。

先物の場合は、現物ほどには金利コストはかかりません。
先物でも、買いポジションを持つと短期金利がコストとして発生し、売りポジションの場合は受け取りとなります。これもまたLiborの何か月物なのかは不明です(恐らく限月間の期間)。しかし、先物は市場参加者の間で価格が形成されるため、金利コストもLibor金利と全く同じ訳ではありません。金利コストは先物の価格に含まれるので目には見えません。金利コストはCFD提供会社によって決められておらず市場で決められるため、上乗せ金利がかかりませんので、現物よりもかなり安いコストで済ませることができます。
先物は元々差金決済取引が可能であり、CFDと何処が違うのかというところだと思いますが、第一に取引単位が違います。
日本の株価指数先物は取引単位が100万円以上であり、小額投資が出来ませんが、CFDであれば数万~数十万単位から可能です。
また、第二に、会社によっては限月で自動ロールオーバーが為されます。
先物は限月ごとに一度決済しなければいけませんが、限月を自動で乗り換えるシステムを採用する会社があります。(私はGMOクリック証券を利用しています。)そのため、中長期投資に向いています。
また、先物のCFDは取引時間が土日を除き、ほぼ一日中である場合が多いです。

結論としては、デイ・トレードであれば直物・先物どちらでも構わないが、中長期投資に向いているのは先物であるという事です。

金利以外のポイントとしては、
・株式の配当相当額は先物でも得られます(売りの場合は逆に損失となります)。
・ETFを投資対象とするCFDではETFの信託報酬がかかります(売りの場合は利益となります)。
・株式やETFを投資対象とするCFDの売りでは、貸株料がかかります。
・先物では信託報酬や貸株料のようなコストはかかりません。

参考URL:
CME Group 「先物とETFのコスト比較」http://www.cmegroup.com/ja/trading/equity-indices/a-cost-comparison-of-futures-and-etfs.html

CFDにて、CFD取引通貨から見て外貨建ての資産に投資する場合、元本部分には為替の影響が無く、差金部分(損益部分)にのみ為替の影響があります。CFDが米ドル建てなどである場合は、米ドルと投資先資産の間で、元本部分への為替の影響が無いということです。GMOクリック証券のCFDは普通に円で取引するものとなりますので、元本部分に為替の影響は受けないことになります。
これも通常の現物投資とは大きく異なる点です。CFDの投資先が現物・先物どちらでも元本部分には為替変動による影響がありません。
原理としては、外貨建て資産を購入するに当たり、その国の通貨を借り入れているということになるためです。つまり、その外貨建て資産を持ちながら、その国の通貨をショートしていることと同じであり、為替ヘッジが行われていることと同じになります。

CFD取り扱い証券会社はいくつかありますが、私はGMOクリック証券を使っています。
理由は、取り扱い銘柄が多いこと、そして特に、先物に投資する株価指数CFDの種類が多いことです。
CFDの取り扱い銘柄が最も豊富なのはIG証券です。
SAXOBANK証券も種類は豊富です。
しかし、IG証券は自動限月乗り換えが出来なかったり、SAXOBANK証券は先物CFDの取り扱いが一部だったりします。また、恐らくある程度の資金量を持った投資家(セミプロ)を相手にしている感じもあり、取引単位が大きいものがあります。
GMOクリック証券も、貴金属CFDやETFCFDは先物では無いので、金利コストが高く付きます。

GMOクリック証券では、先物CFDの限月間ロールオーバーは自動で行われます。先物であることから保有コストが安く、為替ヘッジ効果もあり(これは人によって利点・欠点となります)、更に取引時間がほぼ一日中というところも大きな利点です。
実際に先物で取引をしてみると、このほぼ24時間というのは非常に便利です。現物株式では東京証券取引所の時間(9:00~15:00、昼休み挟む)内でしか取引できませんが先物では夜でもでき、投資機会を見逃すという事が避けられます。また、先物市場は現物市場と違って一日の内の上下幅が大きく、短期売買においては投資機会が広がるという利点が挙げられます。
つまり、GMOクリック証券の提供するような、自動限月乗り換えが行われる先物CFDであれば長期投資・短期投資どちらにも適しています。

GMOクリック証券ではCFD運用の際に発生するコストまたは受け取り額を「価格調整額」「権利調整額」「金利調整額」と分けて呼称しています。
先物CFDでは、価格調整額のみが発生します。これは先物のロールオーバーの際の決済損益となります。期先(先の満期日)の先物価格と期近の先物価格に差が生まれることによって決済損益は発生します。この決済損益には様々な要素が含まれます。原油や穀物などの商品(コモディティ)は実物資産であるため、金利とは別にキャリーコスト(保管コスト)がかかります。通常はこのキャリーコストが原油先物などを保有し続ける場合に日々かかり、それは先物価格に反映されるのですが、ロールオーバー時にその分の金額が決済損益として表に表れます。また、期先と期近の需給などの違いでも期先先物価格と期近先物価格に差が生まれ、決済損益が発生します。株価指数の場合、基本的に金利と配当のみが影響します。
現物(スポット)CFDには、金利調整額が発生します。これは資金調達コストとなります。CFDを保有する場合はその分の金利がかかり、CFDを売る場合はその分の金利を受け取りますが、加えて両方ともに会社独自の金利がコストとして掛かります。株式CFDの売りの場合は貸株料がかかり、これも金利調整額に含まれます。実際にどの程度の金利調整額が発生しているかは、金利調整額のカレンダーを見ると分かります。
株式およびETFの場合、金利調整額に加えて権利調整額が発生します。これは主に配当の受け払いを調整したものとなります。

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