コールドプロセス石鹸の制作方法についてまとめてみます。
市販品でコールドプロセス石鹸を買うとかなり高いですが、手作りでは原価をかなり安く抑えられますし、好きなように作ることが出来ます。
石鹸制作には劇物である水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)が必要なので、この取り扱いには注意が必要です。
ここでは個人的な制作のポイントと実際の制作記録をまとめます。石鹸制作の全般的なことについては、以下の本が分かりやすいと思います。
ただし後述しますが、この本では石鹸作りに使う器具としてガラス器具を使用していますが私はこれは不適当だと思っています。
このページでは、一般的な情報には欠けていると思われる、個人的に重要視するポイントについて重点的に書きます。
石鹸を手作りする目的
コールドプロセス
一般的な石鹸はホットプロセスによって作られているため、原料の油脂の劣化が多かれ少なかれ存在します。コールドプロセスではそれを抑えられますが、手間がかかるために市販品だと高価です。しかし手作りでは市販品よりもずっと安く作ることが出来ます。
原料にこだわることができる
石鹸の使い心地を左右するのは石鹸の原料となる油脂の種類です。手作りでは様々な組み合わせの油脂を試すことが出来ます。私の個人的な目的の一つは、肌を乾燥させる原因となる「ヤシ油(ココナッツ油)」「パーム核油(パームカーネル油)」を使用しない石鹸を作ることです。これらの油脂は、石鹸を豊かに泡立たせるために必要なのですが、代わりに肌を乾燥させやすいという欠点もあります。市販品でこれらの油脂が入っていないものは殆どありません。手作りでこれらの油脂を抜いて作ることで、泡立ちは劣っても肌を乾燥させにくい石鹸を作ることができるのではないかと考えました。私の今までの石鹸制作では「オリーブオイル100%」と「パームオイル100%」の石鹸作りを行いました。
保湿力の高い石鹸を作ることができる
鹸化率を下げて作ることで、石鹸内に鹸化されない油脂を残すことができ、それによって保湿力の高い石鹸を作ることができるようです。ただし、もともと手作り石鹸は安全のために鹸化率を100%としては作らないので、鹸化率をぎりぎりまで上げても多少の過剰油脂は残る場合がほとんどだと思います。また、鹸化率を下げると石鹸の洗浄力や泡立ちは犠牲になります。私の感覚としては、過剰油脂によって保湿力を上げるよりも、原料にヤシ油、パーム核油を使わない方が肌の乾燥防止には役立つと思うのと、もともとグリセリン等含め不純物が残っている手作り石鹸において更に過剰油脂を増やすと、洗浄力を犠牲にし過ぎるように思います。そのため私は鹸化率をぎりぎりまで上げた方法で石鹸制作を行っています。
石鹸のレシピを決める際のポイント
油脂
原料の油脂を選定する基準はいくつかあります。詳しくは冒頭で紹介した本や、以下のページなどを参考にして頂ければと思います。
石けんのやさしい化学(太陽油脂のホームページ)
ここでざっと解説すると、まず、油脂を組成している「脂肪酸」の種類によって石鹸にしたときの性質が異なります。
代表的な脂肪酸は以下です。
ラウリン酸・・・ヤシ油とパーム核油に多く含まれている脂肪酸で、石鹸にすると大きくて軽い泡が立つ。肌を乾燥させやすい。冷水にも溶けやすい。
パルミチン酸・・・パーム油に多く含まれており、泡立ち小、肌への適正良好、冷水に溶けにくい。
オレイン酸・・・オリーブ油などに多く含まれており、泡立ち小、肌への適正良好、冷水にも溶けやすい。
また、リノール酸やリノレン酸が多く含まれた油脂は酸化しやすいので、石鹸作りに用いる場合はメインの油脂としては適さないと思います。
ステアリン酸とミリスチン酸に関しては部分的に使用する場合は石鹸の原料として適していますが、それらの脂肪酸が多く含まれている油脂は存在しないか、または高価なので、天然の油脂を使った石鹸作りにおいてはこれらの脂肪酸の効果を狙って石鹸作りをすることは難しいです。
ただし、これらの脂肪酸を原料の油脂から抽出したものが販売されており、それらを石鹸作りに使うことは出来ます。
牛脂や豚脂(ラード)という動物性の油脂も石鹸作りには使われるのですが、個人的に動物性のものは避けたいという思いがあります。
パルミチン酸に関しては、文献によっては肌への適正がやや悪いという表記がなされることがありますが、個人的な経験で言えば肌への適正はなかなか良く、肌を乾燥させません。
油脂の酸化しやすさの程度を測る指標に「ヨウ素価」があります。ヨウ素価が低いものほど酸化しにくいです。
また、冷水への溶けやすさに関しては「融点」が参考にできます。融点が低いものほど冷水に溶けやすいです。
これらの点を踏まえると、石鹸作りに適した油脂は主に「ヤシ油・パーム核油」「パーム油」「オリーブ油」などとなりますが、個人的には「ヤシ油・パーム核油」の肌への乾燥性が気になるので、「パーム油」「オリーブ油」を原料とするのが良さそうだという考えに至りました。
ここで「パーム油」を使用する場合の注意点ですが、パーム油は環境破壊の原因となっている油として知られているので、できれば環境に配慮しているという認証を受けているものを入手したいところです。一概に認証と言っても、実体は機能していない認証もあるようです。
しかし、いずれにしても日本で認証済みのパーム油を入手するのは難しいように思います。ここは諦めて通常のパーム油を使うか、もしくは購入代金の一部を関連団体に寄付するという形にしても良いと思います。生活の木のパーム油は、売り上げの一部を寄付しています。
私は米国のiHerbというサイトでレッドパーム油を購入しました。
Nutiva, オーガニック レッドパームオイル, 未精製, 15 液量オンス (444 ml)
これは未精製のパーム油ですが環境に配慮しているものということです。
苛性ソーダの量
油脂の鹸化価は、本やサイトによって多少の違いがあります。油脂を購入した所に鹸化価が書いてあればそれを採用するのが良いですが、そうでは無い場合は適当なものを採用するしかありません。
前項に貼った太陽油脂のリンクには油脂の鹸化価の幅が記載されているので参考に出来ると思います。
鹸化価は一般的に水酸化カリウムを使用した際の鹸化価となっていますので、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を使用する場合に変換します。
鹸化価 * 40 / 56.1 = 水酸化ナトリウムでの鹸化価
そして
使用する苛性ソーダの量 = 油脂の重量 * (水酸化ナトリウムでの鹸化価 / 1000) * 任意の鹸化率 / 苛性ソーダの純度(0.99等)
となります。
複数の油脂を混合する場合は、それぞれを計算して足します。
水分量
水分量は油脂の重量の30~40%とすることが多いようです。私は冒頭で紹介した本のやり方に沿って39%で行いました。水分量が多めのほうが苛性ソーダ水溶液が薄まって扱いやすいのと、石鹸種が柔らかくなるので少しでも型入れのタイミングを遅らせやすかったり、ハードオイル主体の石鹸種の場合は融点を下げられるというメリットがあると思います。ただし、適切な水分量については、まだ石鹸作りの経験が少ないのではっきりとしたことは言えません。
エタノール添加
エタノールを少量添加することで、鹸化を促進させることが出来ます。特に鹸化が遅いオリーブオイルで有効です。常温で半固形状のハードオイルの場合は元々鹸化が早いので必要無いかと思います。私がオリーブオイル100%の石鹸を作った際はエタノールを油脂の2%の重量を添加し、石鹸種は20℃弱の温度で、型入れに適したタイミングまで6時間程度でした。
準備のポイント
よくある情報としては石鹸作りにはステンレス製かガラス製の器具を使用するというようなものがありますが、ガラスは基本的にアルカリに弱いので使用しない方が良いと思います。
ステンレスはアルカリに強いですが、水酸化ナトリウム水溶液が100℃近くになる場合は通常のステンレスは腐食するようです。
もっとも安全なのは、ポリプロピレン製だと思います。
強アルカリに耐えられ、基本的に100℃以上に耐えられます。
ポリエチレンも強アルカリに耐えられますが、耐熱性が低いことには注意が必要です。
私は、ポリプロピレン製の計量カップを水酸化ナトリウム水溶液を作るために用い、ポリプロピレン製のボウルとポリエチレン製のヘラ(またはステンレスの泡だて器)を石鹸種の混ぜ合わせのために用いました。
ヘラに関しては、ゴム製の多くも強アルカリに耐えられるようですが、具体的なゴムの種類を問い合わせしないとはっきりとした確認が出来ません。シリコンはアルカリに弱いので、少なくとも混ぜ合わせの初期段階で使うのは不可です。
泡だて器を用いる場合はステンレス製かナイロン製だと思います。ステンレス製の場合、ボウルがステンレス製の場合は擦れあって金属の成分が石鹸種の中に混ざるかもしれませんのでボウルはポリプロピレン製を推奨します。
金属の成分が石鹸の中に入ると、石鹸を使用する際に泡立ちを抑える影響があり、これはどの程度かは分かりませんが、私は一応金属の混入を最小限にしようと思っています。
ナイロンはポリプロピレンやポリエチレンほどの耐アルカリ性は無いようですが、水酸化ナトリウムを室温まで下げてからボウルに入れるのであれば大丈夫そうです。
シリコン製の泡だて器は不可です。
純粋に混ぜるのが目的ならヘラよりも泡だて器のほうが良いかもしれませんが、ヘラも混ぜる用途には使えると思います(私は一度それで作り、失敗もしていません)。
ステンレス製のボウルのメリットとしては、湯煎にかけやすい(温度が伝わりやすい)、そして直接火で炙られることかと思います。
以下は私の使ったボウル、ヘラ、計量カップです。
ボウルとヘラはダイソー、計量カップはサンプラテックです。同じヘラはセリアにも置いてありました(セリアのは色が茶色で落ち着いていたので、そちらのほうが良かった...)。
温度計に関しても、ガラス製の温度計を水酸化ナトリウム水溶液に入れるのはどうなのかと思います。耐アルカリ性のあるガラスであれば大丈夫かもしれません。
今回私は非接触型温度計である赤外線温度計を使用しました。
ただしこれも、水酸化ナトリウムの煙に触れないようにする必要があるかと思います。
水酸化ナトリウムと水を混ぜ合わせるための棒またはスプーンに関しては、ポリプロピレン製があればベストでしたが見つからなかったので、ステンレス製の薬さじを使用しました。
ちなみにポリプロピレン製とは言っても色つきのスプーンなどは、色の成分が流出したりしないのだろうかと思ったりします。主原料以外に添加物が含まれている場合があるので、この辺りは注意が必要かと思います。安全なのはやはり薬品用の器具です。
ゴム手袋に関しては、通常の天然ゴム製でも大丈夫だとは思いますが、ニトリルゴム製のもののほうがより耐薬品性(耐アルカリ性)に特化しているので良いと思います。
水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)は調剤薬局で入手しますが、取り扱いの無い薬局も多いようです。電話で問い合わせるのが良いと思いますが、単に「取り扱い」の有無を聞くだけでは在庫の有る無しで答えられる場合が多いため、「取り寄せ」できるかどうかまで聞いた方が良いです。「苛性ソーダ」という名前で問い合わせしたほうが分かりやすいと思います。
容量は概ね450~500gだと思いますが、薬局によって価格に差があるため、価格は聞いておいた方が良いと思います。
ネット上の情報として、苛性ソーダを取り扱っている薬局として「スギ薬局」「ウェルシア薬局」などを知ったのですが、スギ薬局に問い合わせした際には500g615円、ウェルシア薬局の場合は450g378円(税込、2019年1月時点)でした。
ウェルシアで取り寄せしてもらいましたが、ウェルシアはどの薬局でも同じ値段で取り寄せしてもらえるようです。
ウェルシアの苛性ソーダはフレーク状、純度99%で、東薬のものです。
苛性ソーダは潮解性があり、空気に晒されると水分を吸っていく性質があるため、使用後の保管の際は密閉する必要があります(水酸化ナトリウムの量を正確に量れなくなる)。
ネット上の口コミを見ると、保管中に水分を吸って膨れてしまったという書き込みが結構多いため、容器を締めて保管するだけではなく、他に対策をしたほうが良いかもしれません。
私はガムテープで容器の蓋と本体との間を塞ぐことにしました。更に密閉できる袋に入れておけば安全だと思います。
苛性ソーダを量るための容器は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ステンレス製などが良いと思います。紙コップは、内側にポリエチレンフィルムを張っているらしいのでこれでも良いと思います。
デジタル量りに関しては、0.1g単位で量れるものが便利です。
精製水は、水道水と違いミネラル分(金属成分)が無いため、石鹸の泡立ちを抑えないという利点があると思いますが、日本の多くの地域の水道水は軟水であり、口コミを見る限りでは明らかな違いは無いのかもしれません。精製水はコンタクトレンズ用の安いもので十分ですが、容量が500mlと多めなのと、一度開封したら長く保存しておけないために、ほぼ一回ごとの使い捨てだと思って良いと思います。
やや深めで大きめのポリプロピレン製などのトレーがあると良いと思います。
苛性ソーダを量り取り、水溶液を作る際に、苛性ソーダや水溶液が零れる危険性を考慮して、そのようなトレーの上で行うほうが安全だと思います。または台所のシンクの中で行います。
制作の手順
現時点で私の重要視するポイントを挟みながら、ざっと手順を紹介していきます。
初めに苛性ソーダを溶かすための水を冷蔵庫で冷やしておくと、苛性ソーダを溶かした時に蒸気が発生し辛く、温度も上がりにくいので良いかもしれません。冬場は必要無いかと思います。
油脂が固形状のもの(ハードオイル)であれば、湯煎の準備をしておきます。液状のものの場合は湯煎は任意です。
- ボウルに油脂を量り取ります。油脂が固形状のものであれば、スプーン等で掬うか、または湯煎にかけて量り取ります。苛性ソーダを溶かすための水を量り取ります(予め冷蔵庫に用意していない場合)。
- ゴム手袋、ゴーグル、マスクを着用し、換気扇を回しながら苛性ソーダを量ります。大きめのトレーの上やシンク内で行うと安全です。空気の流れの上に自分を置かないようにします。苛性ソーダはなるべく手早く量り、苛性ソーダの容器を早く閉めたほうが湿気を吸わないので良いと思います。苛性ソーダがこぼれた時のために、それを捨てるための袋(レジ袋などポリエチレン製の袋)を用意しておくと良いと思います。苛性ソーダがこぼれた際は、スプーンですくうか、ゴム手袋で直接つまめば良いと思います。こぼれた苛性ソーダが汚れていなければ、そのまま量りの上の容器に入れれば良いと思います。ゴム手袋で苛性ソーダに触れた後は、ゴム手袋の表面を水で洗い流します。ちなみに、フレーク状の苛性ソーダであっても0.1g単位で量れることを確認していますが、仮に0.1g単位で量れなかった場合に備えて、量れた苛性ソーダの重量を基に正確な油脂の重量を計算する方法もあります。その場合は4の苛性ソーダ水溶液を冷却しているタイミングで油脂を量り取ります。
- 苛性ソーダを溶かすための水に、苛性ソーダを静かに入れていきます。水が跳ねないように注意します。文献によっては苛性ソーダの入った容器に対して水を一気に注ぐという方法を紹介していることもあります。その場合は「冷水を使い」「一気に注ぐ」ことを守れば良いと思います。もちろん、容器はポリプロピレン製を推奨します。私は前者の方法(苛性ソーダを水に入れる方法)で行っていますが、苛性ソーダが零れたり水が跳ねたりしないように慎重に行わなければならず時間がかかり、更に時間がかかると苛性ソーダが次第に湿ってきて更に扱いづらくなるという経験をしていますので、後者の方法のほうが良いかもしれません。
- 苛性ソーダ水溶液(水酸化ナトリウム水溶液)を冷却します。自然冷却だと時間がかかるので、水または氷水を低水位で入れたボウルなどに苛性ソーダ水溶液の容器を浸けます。苛性ソーダ水溶液の容器が転倒しないように、冷却用の水はあまり高くまで入れないようにし、更に注意します。油脂が固形状のものの場合はここで湯煎にかけて溶かします。油脂の融点を維持するようにします。油脂が元々液状のものの場合、湯煎にかけるかどうかは任意です。エタノールを加える場合はここで油脂に加え、攪拌しておきます。
- 苛性ソーダ水溶液が油脂の温度に近づいたら(30~40℃程度)、油脂に加えます。油脂を攪拌しながらゆっくりと流し入れます。ここでの加え方がどれだけ影響があるのかは分かりませんが、鹸化のスピードにムラが出来ないようにすることが大事だと思います。ここで加える苛性ソーダ水溶液の温度が高すぎると、部分的に鹸化が進み過ぎてムラが出来るかもしれないので、ある程度まで苛性ソーダ水溶液の温度を下げ、油脂の温度に近づけたほうが良いということは言えると思います。油脂と苛性ソーダ水溶液の温度を正確に合わせる必要性は無いと思います。
- 初めの数分~20分程度は絶え間なく混ぜ合わせ、後は時間を置いて混ぜ合わせます。固形状の油脂の場合は融点を維持するようにします。トレースが出るまでの時間は油脂の種類に大きく左右されます。一概にトレースと言っても、その段階には幅があります。型入れのタイミングが早すぎるよりも遅い方が失敗しにくいと思われます。タイミングが早い場合は型入れ後に石鹸種が分離する可能性や鹸化にムラが出来る可能性(?)が考えられ、一方でタイミングが遅い場合は単に石鹸の上面が綺麗な面にならないというだけです。そのため、トレースが出て種の上に線が描けるようになっても、すぐに型入れするよりも、もう少し攪拌を続けてから型入れしたほうが失敗は避けられると思われます。
- 型入れ後はラップして鹸化を促進するために保温します。型入れ後は攪拌が出来ないので、鹸化が早い方が分離の危険も下げられますし、苛性ソーダが空気中の二酸化炭素と反応して白い粉を生じる可能性も下げられると思います。私がオリーブオイル100%の石鹸を作った際は、保温をせずに室温20℃程度で放置して実験しました。特別失敗も無く石鹸が出来ましたが、型に入っている時に石鹸種が空気に触れていた部分には白い粉が吹きました。白い粉が吹いたということは、油脂と反応するはずの苛性ソーダが空気と反応してしまったということですから、若干鹸化率が下がるかもしれません(影響は無いかもしれませんが)。固形状の油脂(ハードオイル)が原料の場合は、融点を維持しないと鹸化によらない固体化が始まってしまい、それが鹸化に悪影響があるかもしれないので保温はしたほうが良いかもしれません。夏場は保温によって温度を上げ過ぎないように注意します。普通の器材ではなかなか保温の温度を一定に保つのは難しいのですが、保温箱の中に、保温したい温度のお湯を入れたペットボトルなどを一緒に入れておくのも良いかもしれません。保温の温度の理想は概ね40℃くらいになると思います。保温の時間については、基本的に24時間以上で良いと思います。オリーブオイルなど鹸化に時間のかかるものについてはそれ以上保温しても良いと思います。
- 使い終わった器具はティッシュや新聞紙で石鹸種を除去し、洗剤で洗えば良いと思います。アルカリ性が高いので一応ゴム手袋をしたほうが良いかもしれません。この段階の石鹸種は石鹸分よりも油脂分のほうが強いので、ある程度ティッシュや新聞紙で取り除く必要があります。苛性ソーダの容器は、蓋の隙間に対してガムテープで覆うなどしておくと良いです。
- 保温期間終了後は石鹸種の硬さを確認し、取り出せて切ることが出来る程度の硬さの場合(ハードオイル主体の石鹸の場合等)は直ぐに取り出して切っても良いと思います。石鹸種にまだ柔らかさがある場合は、もう少し保温期間を延ばすか、室温に放置して硬くなるのを待ちます。ある程度硬くなってから切った方が綺麗に切れるのではないかと思います。
- 切った後は光の当たらないところに並べて乾燥させる期間に入ります。4~6週間乾燥させます。ハードオイル主体の石鹸の場合は4週間程度で良いと思いますが、オリーブオイル石鹸などの場合は長めに乾燥させたほうが良いと良く言われます。
オリーブオイル100%石鹸の制作記録
工事中