オプションキャッシュフロークラブのレビュー

2018/09/12

資産運用

オプション取引の実践者、そしてオプション取引の本の著者としても有名な増田丞美氏の主催する「オプションキャッシュフロークラブ(OCFC)」という会員制のクラブがあります。
日本で一般の人がオプション取引を学ぶには、方法が限られています。
日本で出版されているオプションについての本は数が少なく、そのほとんどが増田氏の著書または翻訳本です。
オプションの情報は、ネット上にもある程度の情報はあるので参考になります。
有用そうなサイトとして以下を挙げておきます。
https://toushi-kyokasho.com/
https://mf-aa.co.jp/
https://www.option-dojo.com/

私は増田氏の著書、翻訳本を大方読み、ネット上の情報にも目を通した上で、更に知識を得たいと思い「オプションキャッシュフロークラブ(OCFC)」に入会してみることにしました。
今回、当クラブについてのレビューをしてみようと思います。

「オプションキャッシュフロークラブ(OCFC)」は、増田丞美氏と「エンジュク株式会社」が提携して作られたクラブです。
「エンジュク株式会社」は、投資に関する情報やセミナーを提供するビジネスを行っている会社です。
「エンジュク株式会社」は、OCFC以外にも様々な投資情報、セミナーを提供しています。
一つの投資手法の価格は数万~数十万円です。
私が感じた限りでは、有用そうな情報が揃っているように感じました。
価格設定は一般人からするとなかなか高いものもありますが、提供された投資手法を自分のものに出来れば十分元は取れそうな感じは受けます。
また、関連するホームページにて無料で情報提供も行っており、かなり参考になります。
上で紹介したサイトhttps://toushi-kyokasho.com/がエンジュクの運営するサイトです。

OCFCに関しては、三か月50000円程度と、クラブなので会費制となっています。
継続して加入し続ければ1年で20万円ですからかなり高価ですが、三か月だけ加入するということもできますので、その場合は比較的安いと思います。

クラブの紹介する投資手法の具体的な内容については有料情報のため、ここで直接触れることは出来ないのでレビューもしにくいのですが、大体の感じを書いていこうと思います。

増田氏は現在「ナンバーオペレーション」という手法を紹介しています。
私はこれに興味を持って入会しました。
しかし、結局私はこの手法の理解が出来ませんでした。
具体的には、VXXを代表とする「漸減数値」を空売り(ショート)することを中心とした手法です。
漸減数値とは、長期的に数値が減り続ける性質をもった証券です。
空売りすれば長期的には利益が出ますが、短期的に数値が上昇するリスクがあります。
そして、ナンバーオペレーションを実行するには「ある思考」が重要だと言うことです。
重要なのは、技術よりも思考である、ということです。
その思考に自らを導くため、実際の取引では、私から見れば論理的に無駄が多いと思うような取引方法を用いています。
具体的には、「両建て」に似たポジション、そして「決済と新規建て」を同じ銘柄で連続して行うような手法です。
また、VXXだけでは無く、それ以外の似たような銘柄を多く扱うのですが、これについても経済的な観点から見れば必要が無いと思えます。

そして、リスクコントロールについての技術的な説明が少ないということがあります。
元々私は、この手法つまりVXXなど長期的に数値が減り続ける証券を空売りするという手法について勉強しており、この手法を実行するにはリスクコントロールが最重要だと考えていました。
そして、OCFCに入る事で、より良いリスクコントロールの手法を学べるかなと思っていました。
しかし、実際は技術的なリスクコントロール手法は殆どありませんでした。
増田氏の見解としては、「思考」を物にすることで自然とリスクコントロールができるということだと思います。
その思考方法そのものは良いと思える部分もあるのですが、私の理解が及んでいないのか、やはり技術的なリスクコントロールの方法について学ばないとかなりリスクが高いと思ってしまいます。
実際に、OCFCで教えている情報のみに頼って、初心者の方が取引を実行してしまうと、とてもリスクが高いように思えます。
例えば、資金配分の具体的な数値を提示しなかったり、証拠金制度(マージン制度)の理解について疎かにしていること等が、問題だと思います。

リスクの話は以上ですが、次に、コスト意識が低いということがあります。
無駄の多いと思われる手法を取ることにより、必然的にコストがかかりますが、意識の上でもコストを軽視しているように見えます。
元々収益性の高い手法なので、コストを無視しても収益を上げられることは確かですが。
ナンバーオペレーションは、無駄に多くの証拠金を要し、また、無駄に多くのコストをかけている手法だと私からは思えます。
しかし、これは決して増田氏が適当な教え方をしているという訳では無く、増田氏にとっては熱意をもってやられているということを私は感じます。
単に、そういった手法について私は理解し難いというだけで、価値観の問題だろうと思います。
しかし私だけではなく、多くの人にとっては、増田氏の手法は非論理的で理解し難いものに映るだろうと思います。
実際、「質問箱」でもそういった質問がいくつかありました。
理解しようにもなかなか理解できないという会員の方がやはり多いように思います。
私も理解しようとはしたのですが、やはり理解はできませんでした。
もっとも、取引を実行していく中で感覚的に理解していくことが大事なのだという趣旨の事が書かれてありましたが、私としては、納得できない事はしたくないということもありますし、実際に実行したとしても、やはり理解できないように思います。
また、経験によって得られる感覚を完全に頼るのはどうかと思います。経験だけで、下手に分かったような気になるのはリスクが高いと思うので、私はやはり論理的に考えた上で取引に臨むことが大事だと思います。経験だけ積んでもそれが過剰な自信や慢心に繋がることもあると思います。

ということで、私としては、期待した内容のものは無かったのですが、その「思考方法」そのものは参考にはできると思います。
しかし技術的な事を学ぼうとすると、期待外れかもしれません。
もちろんOCFCでも技術面でのレポートは多いです。しかしそれは、私から見たら非論理的で無駄だと思える手法の技術的な説明です。
私の希望としては、「世の中の一般的な考えでは増田氏の手法や考えは理解できない」ということを増田氏にもっと理解していただき、もっと私たちでも理解できるように説明してほしいと思ったのですが、増田氏の見解としては、「実際にその手法を用いて実行し、経験することで感覚的に理解していくことだから、言葉では教えられない」ということのようです。

私にとっては、OCFCの手法よりもエンジュクの運営するページhttps://toushi-kyokasho.com/で提供している情報のほうが有用にも思えました。

ナンバーオペレーション以外には、「P-1」という手法を前はメインとして扱っていましたが、現在では完全にナンバーオペレーションに移行しています。
「P-1」というと何のことか良く分かりませんが、特別な事はありません。
増田氏の著書を始め、オプションについて勉強した人なら誰でも知っているオーソドックスな手法ですが、シンプルながら強力な手法として紹介されています。
増田氏の著書には「ストラングルスワップ」「NOPS」「OPS」など割と高度な手法も紹介されていますが、そのような難しい手法は「P-1」にとって替わり、更に現在ではナンバーオペレーションにとって替わったようです。

OCFCの内容は、レポートの内容量が多く、その他にPDFと動画があります。
レポートは何度も同じ内容、似た内容の記述が繰り返されるため、内容量がとても多くなっています。
主に「思考方法」についての記述が大半を占めます。それだけ会員の方に理解してもらいたい内容なのだと思います。

私としては、その「思考方法」は参考にできる、または納得できる部分はあるとしても、やはり全体としては理解できませんでした。
なぜ、その思考方法のみで上手くやっていけるのかが分からないという点が大きいです。
また、実際の取引では、その思考方法をする、または維持するために、通常の考えからしたら無駄だと思える方法をとっています。
これは、かなり心理学的な要素がある手法です。

レポートの量から熱意は伝わってきますが、結局納得できるような説明がありません。
増田氏は、「自分で考えることが大事」というスタンスですから、あくまでヒントだけ提示するという方法を取っているようです。
しかし、それはあくまでも増田氏の考え方が「正しい」、つまり他の人にとっても「正しい」という前提に立っている行為です。
そもそも増田氏の考え方が理解できない状態では、その考え方をしっかりと説明してもらわないと、それが私自身にとっても「正しい」のか、つまり、納得できるのか、できないのかという判断ができません。
それとも、自分が納得できない事でも他人に言われた通りに実行すべきなのでしょうか。
その辺りは人にもよるかと思いますが、やはり私は実行しにくいです。
実際に実践しながら掴んでいく感覚が大事ということですが、それを実行するための納得できる根拠は必要だと思います。

OCFCの現在主力の手法であるナンバーオペレーションについてはAmazonでKindle版書籍が出ているので、興味がある方はこちらを参照して頂くのが良いかと思います。クラブに入るよりも遥かに安く、基本的な内容を知る事が出来そうです。


ナンバーオペレーション入門: 進化したオプション戦略


t f B! P L

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2 件のコメント:

  1. OCFCについてに非常に興味があり、ナンバーオペレーションの本も読んだのですが、本自体に誤字や間違いが散見され少し内容が掴みづらい気がしておりました。 本だけを読むとVXXのOption Spread技法にも見えるのですが、OCFCではそれ以外にも何か戦略的な所を学べるのでしょうか? GSYL様のOCFCの体験を拝見すると、ナンバーオペレーションの理論だけで具体的な戦術や投資方法などには言及していないという事でしょうか? OCFCに掲載されている口コミでは、そこそこ収益を上げている人も掲載されているようですが、その辺りも真実であるのか? 毎週のNews LetterやOn demand Videoそれに質問箱を駆使してもやはりナンバーオペレーションなるものを習得することは難しいのか? エンジュクの方にMailで問い合わせても何となく、要領と的を得ない回答でしたので、回答された方はあんまり理解していないのか? それとも単にエンジュクの社員で真剣に返信していないのか? どうも、入会に踏み切りがたいところがあるのですが。。。   
    しかしながら、Number Operation自体の理論・実践は是非学びたいと思っております。GSYL様のご意見をもう少しいただけると幸甚です。 

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  2. コメントありがとうございます。
    私自身は「ナンバーオペレーション入門」は読んだことは無いのですが、本の内容紹介を見る限り、OCFCで学べる手法の基本的なことが書かれてあるのでは無いかと思います。
    仰るようにナンバーオペレーションは様々なVIX銘柄を組み合わせて取引をする手法です。この手法がメインであり、その手法に基づいた実践的な方法も学べます。
    日々レポートがメールで送られてくる上、文章量も多めです。取引例や日々のアドバイスなど実践的な内容はあります。同時に、「思考」に関する文章も多いです。口コミについてですが、普段の環境では、収益を上げること自体は難しくはありません。ただ、リーマンショックやVIXショックなどの万が一のリスクに対してどのように対処するのかという説明が薄いと感じました。
    増田氏自身、リーマンショックを乗り切った経験があり、その上での投資手法だと思うのですが、リーマンショックより危険な状況が無いとは言えません(VIX投資で最も注意すべきはショックの規模よりも、VIXの突発的な急上昇だと思います)。ナンバーオペレーションは人によってはなかなか理解し難いです。文章量は多くても、納得できる説明というものが無いため、理論的に考える人にとっては特に理解しにくいと思います。
    ナンバーオペレーションは「実際の体験で身に付けるべきもの」という増田氏の考え方があることも原因です。
    質問者様がOCFCに入られて、この手法に適応できるかどうかは分かりませんが、人を選ぶ手法であることは確かだと思います。気になられているのであれば、一度入ってみるのも良いかとは思います。
    もし合わなくても、こういう手法や考え方もあるのだという貴重な体験にはなるのかなと思います。エンジュクの方が、ナンバーオペレーションを理解しているかどうかは分かりません。なので、要領を得ない回答になっても不思議では無いと思います。それだけ理論的に説明しにくい手法だと思います。仮にナンバーオペレーションを理解している方がいれば、私も是非ご教授頂きたいという思いです。仮に質問者様がOCFCに入られて、この手法を理解できたならば是非教えてほしいとも思います。

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