ビルケンシュトックはドイツの靴メーカーの中では特に有名です。
ドイツの靴メーカーは他にもあるのですが、そのほとんどは値段が高価なこともあってか日本ではあまり一般的に認知はされていないようです。
ビルケンシュトックの靴には独自のコルク混合素材を使ったフットベッド(立体成型インソールのこと)が使われています。
靴の形は人間の足の形に沿うように作られており、靴の先が一般的なものよりも広がっていることが特徴です。
サンダルのラインナップが多く、1万円前後で購入できます。革靴やスニーカーもあり、これらはもっと高価です。
ここでは自分なりにビルケンシュトックについて考察してみます。
靴の形状
ビルケンシュトックの特徴である、足先が広がる形状については良いと思います。一般的な靴は足先が細い、言い換えるとぎりぎりの幅でできており、人によっては足先が当たって痛くなる可能性があります。
足先の幅にゆとりを持たせる作りであれば、より多くの人に合う靴になると思います。
しかし、足先の幅の問題については意見が分かれるところでもあります。
ここから先は少々複雑な話なので飛ばしてもらっても構いません。私の現時点での結論は「ビルケンの靴の形は良い」ということに変わりありません。
ビルケンを初めドイツや北欧の一部のメーカーでは足先を広くするデザインを採用していますが、「むしろ広すぎる幅はフィット感を損ねるので良くない」という意見もあるのです。
確かに靴は足とフィットしている事が大事で、フィットしていないと中で足が「前滑り」を起こし、指が当たってかえって痛くなります。
また、一般的な作りの靴であっても適切なサイズを選べば足先が細すぎるということは無く、むしろフィットしていることが大事ということです。この意見には一理あると思います。
しかし、反論としてまず
1. 適切なサイズ選びが難しい
一般で売られている靴は既製ですから、平均的な人の足型を想定して作られています。
自分が平均的な足型であれば良いですが、そうで無い場合があるのは当然です。
適切な捨て寸(靴の一番先から、足先までの余裕)を取れるサイズの靴を購入できれば良いですが、捨て寸が規定よりも少なくなってしまった場合は、それだけ足の指が前に出ます。
そうすると一般的な靴は小指のすぐ先から窄まっていますから、サイズが多少ずれるだけで小指が内部の壁に当たります。
このように、「靴の形」と「足の形」が異なる靴というのは、サイズ選びがシビアですし、平均的な足型にしか対応していない点が問題です。
2. 足先がフィットする必要は無い
指が当たって痛いというトラブルが多いのは(多そうなのは)指が弱い部分だからです。
足本体であれば靴の壁に当たってもそれほど痛くは感じませんし、力もかかる部分なので、特に革靴であれば自然に馴染んでくるでしょう。
しかし「指」であればそうは行きません。指が当たると、おそらくずっとそのままです。
そのため指(足先)のように弱く、当たって痛くなりやすい部分はやはり空間を広く取ったほうが良いと思います。
また、足先をフィットさせる必要は無く、足本体のほうでフィットさせれば良いのです。
足の甲を靴ひもで適度に締めつけてフィットさせれば良いでしょう。
スニーカーのように甲の先(足先に近い部分)のほうまで紐で締め付けられるものの方が望ましいと思います。
足先は自然に広がった形のほうが良いですが、靴全体としては足にフィットさせられるくらいの細さのほうが望ましいと思います。
フットベッド
ビルケンのフットベッドは形が統一されています。つまり一種類しかありません。
様々な立体インソールが一般的に売られていますが、ビルケンシュトックのフットベッドはその中でも立体的で凹凸がしっかりとしています。
なのでやはり人によって合う合わないがあると思うのです。
合わない場合は恐らくずっと合わないままになると思います。
これは実際に店舗で確かめるのが良いでしょう。どこかが当たる、痛いという場合は止めたほうが良いと思います。
人によって足の形が違うという事を念頭に置いて、複数のフットベッドを選択できるようにするなどしたほうが良かったと思います。
少なくとも、一種類しか無いフットベッドを万人に合うものであるかのような形で売っているのには疑問です。
一般の靴に入れる用のフットベッド単体も販売しており、それは主に2種類の形がありますが、合う人の幅を広げてくれるようなラインナップではありません。
ということで健康を意識しているはずのビルケンのフットベッドですが、実際は、「合う人には健康」な靴だと感じました。
素材はコルクとラテックスの複合素材にジュートのシートを挟み、表面にスエードを張っているという感じ(おそらくそのような感じ)で、通気性が良さそうでかなり良い感じに見えます。
しかし、もう一点問題だと思うのは、クッション性が無い事です。
これは人によるところも大きいと思います。
筋骨が丈夫だったり肉付きが良い足を持っている人であれば、あまり問題にはならないかもしれませんが、特に長時間歩く場合において、人によっては踵の接地面が痛くなる可能性があります。
ビルケンシュトックによれば、足の安定性を保つ意味であえてフットベッドを硬くしているようです。
これについては哲学があってのことだと思うので特に批判的には書きませんが、個人的な意見で言えば、やはり靴はクッション性が無くてはならないと思います。
私自身はビルケンのサンダルではなく類似品であるABCマートのホーキンスのサンダルを履いていました。
これも固さはビルケンのものと同じ程度なのですが、比較的長時間歩くと踵が痛くなってきます。
そこで私は「ソルボヒール」というソルボ(ブランド名)のヒール部分に貼る衝撃吸収インソールを貼っています。
これは裏側が全面粘着となっているのでフットベッドの上にも貼りつきます。
やや立体感が薄くなるとは思いますが、あまり違和感はありません。切らずに(サイズ調整せずに)そのままサンダルの手前半分に被せるのがコツです。
しかし、ホーキンスの現行モデルはクッション性が付加されているようです。ビルケンは硬いままです。
また、クッション性以外にフットベッドの形が違います。
ホーキンスの同等品は、横アーチといって足の中心よりやや前あたりにあるアーチを支える盛り上がりがほとんどありません。ビルケンにはしっかりとそれがあります。
そのため、ビルケンのフットベッドの形が合う人にとってはホーキンスのものは支えが物足りないかもしれませんが、ホーキンスのものはそれだけ万人に合う形なのではないかと思います。
基本的に立体インソールは、ソフトな立体感のものとしっかりとした立体感のものがあり、ソフトなもののほうが当然、万人に合いやすいということは言えます。
サンダルのストラップ
ビルケンのサンダルはいくつか種類があると思いますが、ベルトのようなストラップで調整するタイプが主流です。
これを調整して足にフィットさせるのですが、そのままだと細かい調整が効かないので、ややルーズなフィット感になります。
近所の散歩程度、本当にサンダル程度に使うのであれば問題は無いのですが、しっかりと歩こうと思ったときは、フィット感が少ないとやや歩きにくいです。
私の持っているホーキンスのサンダルも同様ですので、私は既存のベルト穴を増設しました。
穴と穴の間にもう一つ、パンチ(彫刻刀の先のような金具)とトンカチを使って穴を増設しました。
ドリルだとあまり綺麗には行かないので注意。
そうしたところ、より細かい長さの調整ができるようになり、フィット感が良くなり歩きやすくなりました。
まとめ
こうして見ていくと、ビルケンシュトックの靴、特にサンダルについては長時間の歩行には向かず、例えばオフィス内や近所の散歩程度の用途に向いたつくりをしていると感じます。
フットベッドが自分の足に合っている場合は、立っているのが楽なように感じるかもしれません。
また、フットベッドは肌触りや吸湿性も良いので、気持ちよく感じると思います。
長時間の歩行に使いたい場合は、上記したようにベルト調整を細かくするなどの工夫をすると良いと思います。