革靴および革製品の手入れの方法

2016/05/04

ファッション

手入れ(ケア)の方法について正確な情報が割と少ないので、ここで触れさせていただきます。

革靴の手入れの手順は以下です。
馬毛もしくはナイロンのブラシが、埃落とし用です。
埃を落としたら次に、古いクリームを落とす為にクリーナーを使います。
その後、乳化性クリームを塗ります。
防水スプレーを使うかどうかは、微妙な所です。
何故なら効果がすぐに切れる(1~2週間?)為、何回もかけていると経済性が悪い為です。

クリーナーについて

どのようなクリーナーを使うかですが、通常の革靴ならば水性のステインリムーバーが良いと思います。汚れ落とし能力が高いはずです。ただし、アニリンカーフ等デリケートな革では染みになるかもしれません。その時はデリケート革用のクリーナーを使います。
クリームにクリーナー機能が付いているワンタッチ方式の製品もあります。それで一回で済ませても良いと思います。要はどこまで手を入れるかです。

クリームについて

クリームには沢山の種類があります。
まず、保革に必要なものは水分と油分です。
そして革の表面に膜を張って雨や汚れから守るのが、ロウ分(蜜蝋やパラフィン等)です。
これらのバランスで複数の種類があります。

水分と油分が、標準的なバランスで混ざっているものが一般的に乳化性クリームと言われるもので、瓶入り色付きクリームもその一種です。ロウ分も標準量入っています。
ただし、広義には水と油が混ざっているものを乳化性クリームと言います。

アニリンカーフクリームは、アニリン染などのデリケートな革用のクリームです。水分が多く、油分が少なめで、ロウ分がある程度入っています。油分を抑えることで染みになるのを防ぎつつ、表面に膜を張って保護する事を優先している訳です。
個人的には、ロウ分が多すぎて革に栄養を与える機能が少ない気がします。逆に言うと革への成分の浸透力が弱いという事になります。ロウ分は浸透しないので、革に悪影響を与えません。実際にクリームを触ってみると分かりますが、浸透しなさそうな乾いた感触です(それがロウ分、というかパラフィンですが)。ただし、メーカーごとに違いはあるかもしれないのでこの説明を鵜呑みにはしないで下さい。

デリケートクリームは、水分が最も多く、油分が少なめ、ロウ分は入っていません。
油分が少ないのでデリケートな革に使えます。水が主成分でロウ分が入っていないため、使用後も革へのベタベタとした反発が無く、サラサラとした感触のままです。その為、靴に限らず全ての革製品(表革)に使用できます。
ジェルに近いですが、一回の使用量が多くなるので経済性は悪いです。
保革効果は大きいですが、油分が少ないので、これだけだとすぐに水分が抜けるような気もします。上から油分のあるクリームを塗れば大丈夫です。
手入れのされていない、乾燥した革に塗る場合に最適です。

ラナパー(製品名)という製品があります。
乳化性クリームですが、油分とロウ分がメインで、水分は殆ど感じられません。
蜜蝋主体なので、油と言うほど柔らかくなく、半固体です。
有名な製品で、保革効果が高い、撥水効果が高い、ワンタッチである事などをうたっています。
実際に使っていたのですが、確かに、撥水効果は高そうです。靴を水から保護するという意味では最適かもしれません。
しかし、肝心の保革性能はどうでしょうか。保革には水が必要であるならば、これだけでは駄目です。また、革への浸透性も悪いです。成分は良さそうなのですが・・・。
一回の使用量は極少ないので、極めて経済的ではあります。
私としては、基本的な保革をした後の、防水スプレーの代わりとして使うのが良いと思います。
例えば、デリケートクリームと併用する等です。

現在では、この製品を使わないことにしています。
この製品はいわゆるワックスだと思いますが、ワックスやオイル系を革に塗ると色が濃くなり、柔らかくなります。また、一度塗り込むと内部に浸透したものは簡単には取れません。
このように、革本来の状態を良くも悪くも変えてしまう性質があります。
革表面の素材感も変わり、サラサラした感触が失われます。通気性も失われます。
確かにワックスを塗ると防水効果が高いのですが、個人的には乳化性クリームのみでやっていきたいと思っています。
また、ネット上ではこの商品の商品説明に疑問が付いているようで、「蜜蝋とホホバオイル主体のクリーム」というメーカー側の説明が誤りである可能性があります。成分の90%以上がワセリンという鉱物油である疑いがあります。ワセリンの主成分はパラフィンであり、つまりロウ分です。

仮にワックスを使うのであれば、やはり、ワセリンよりも蜜蝋やホホバオイルのようなもののほうが良い気がします。
そこで、以下の商品を紹介しておきます。
自分で使った事はありませんが、革の色が濃くなり辛い、柔らかくなり辛いという特徴があるようです。

上記の商品は現在(2017年11月)売り切れているみたいなので、もう一つ紹介しておきます。

こちらは実際に使用した経験がありますが、ラナパーよりも柔らかく、革への浸透性があります。メーカーはコロンブスなので、一定の信頼性はあると思います。
ただしあくまでワックスであることに変わりはないので、これだけで保革はせず、乳化性クリームを塗った後の仕上げとして使用するのがおすすめです。

色付き乳化性クリームについてですが、靴の色よりも薄めの色を選ぶ事が基本です。
東急ハンズには多くの種類が置いてあるので、便利です。
また、必ずしも毎回色付きクリームを塗る必要はありません。
しかし黒であれば、毎回塗っても濃くなりすぎる事は無いので良いと思います。
勿論、他の色でも面倒なら毎回色付きでも良いと思います。

私は現在、クリームとして「M.モゥブレィ クリームエッセンシャル」を使っています。これは革製品全般に使える汎用クリームであり、液体に近い乳化性クリームです。水分が多めで油分も感じ、ロウ分も入っています。浸透力があるので保革性が高そうです。靴以外にもデリケートレザーを除くあらゆる革製品に使えるので、これを革製品お手入れの基本アイテムとしてお薦めできます。似た製品として、「サフィール ユニバーサルレザーローション」というものもあり、こちらも良いと思います。ただ私が試したところ、買ってから数年放置した際に香料の香りが臭く変化してしまった経験があります。長く放置しなければ大丈夫だと思います。

デリケートな革製品の手入れ

デリケートレザーには専用のクリーナーを使います。が、普段の手入れは固く絞った雑巾で水拭きでも良いと思います。
クリームとして使えるのは上記のアニリンカーフクリームか、デリケートクリームです。デリケートクリームを塗った後に、アニリンカーフクリーム若しくは他の乳化性クリームを塗っても良いと思います。
デリケートレザーの弱点は、油染みだと思いますので、これを抑えるために油分を少なくする訳ですが、油分やロウ分を追加した方が水分蒸発を防げたり、外部の汚れから保護する作用が生まれたりするという事があります。乾燥した状態で油分の多いクリームを使うと、浸透力が強くなりムラが出来てしまう可能性があります。その為、最初にデリケートクリームで水分を補給する事で、その後に塗るクリームの浸透を穏やかにし、ムラを防ぐことができます。

スエードの手入れ

スエードの手入れはお金がかかるので、スエードの靴を買うのは敬遠したい所ですが、説明します。
ブラッシングが大切です。
スエード専用の金属ブラシがありますが、革を傷めそうです。普通のブラシで良いと思います。
汚れ落としには専用の、柄の先にゴムが付いているもの(クレープブラシ)を使います。
ゴムで消しゴムのようにこすり落とします。
保革には専用のスプレー(WOLY ドレスインプレグニーラー等)を使います。
最後に、防水スプレーをかけます。
ただし、専用スプレー自体に防水性があります。

一連の道具を揃えるのにお金がかかり、更にスプレーの継続コストが高く付きます。
また、クリーニングとして濡れ雑巾で拭いても良いと思います。

その他のクリーニング

酷い汚れの時は、サドルソープと言って靴用の石鹸を使う事が出来ます。
これは表革、スエードどちらにも使えます。
スポンジに水とサドルソープを付けて泡立てて使います。
サドルソープを使った後は、クリームで保革します。
私が使った限りでは特に革へのダメージも無く、スッキリとするのでお薦めです。
インソールの汚れ落としにも良いと思います。
革では無く、取り外しできるタイプであれば普通に洗剤で洗えば良いと思います。

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