オーディオ機器の「音質」の考察と、各メーカーの比較

2016/05/04

オーディオ

私は最初、どんな方向性のオーディオが好みか分かりませんでした。
Hi-Fiと呼ばれるものは原音を忠実に再現するシステムを指すと理解しています。
一方、音の聴きごたえを良くする、つまり味付けを行う機種が存在します。

私としては、はじめは前者の方が良いと思う訳ですが、「原音を忠実に再現する」という事がそもそも難しいのです。
そこで各社ともHi-fiを目指すために様々な違ったアプローチを取っています。
日本製品で目立つのが、オーディオ機器の物理的特性の追及と、高い空間表現、高スピード、高解像度化です。
デジタルアンプに多く見られます。
鮮度が高く、情報量も多いのですが、私の耳では全く良いと思いませんでした。
音色が良くないのです。勿論、現実の音色とも違います。
このように、オーディオ機器を試聴しているうちに、私は音色を最も重視しているのだと気付くようになりました。
製品について十把一絡げに語っても仕方は無いのですが、試聴した限りにおいて、デジタルアンプは全て良くなく、日本製品の中で良いと思えるのはMARANTZとROTELです。

私の好みでは無かった日本製品の音色とその他の特徴がどのようなものか、解説します。

PIONEERのデジアン(Aシリーズ)
青白くて固い音色で、躍動感が無い。
SONYのデジアン(S-Master
PRO)
音が霧のように拡散して纏まりが無い。本来一つの音(ピアノの一音など)が一つの粒にならない。音を形作るはずの情報の断片が、形を作らずに表現されている。CDの情報が、生気のある音として再構築されずにそのまま打ち出されている感じ。ザラザラとした音の感触で、時に耳に痛い。ソニーらしい音で、僅かな潤い感と涼しげな音色が特徴。S-Master搭載のウォークマンも程度は弱いものの、ここで書いた特徴と同傾向。
ONKYOのアンプ
音が丸く、芯があり、音の物理的特性が良い。暗い銀色を思わせる、モノクロでやや無機質な音色。

否定的なレビューですが、それぞれに利点もあるのでしょう。ただし、私には音色の悪さが目立ってしまった、という事です。
やはりアプローチの仕方が違うのでしょう。作り手の方々は、音色についてはあまり感じないのか、少なくともこのように感じてはいないのでしょう。私が重宝している価格コムのレビューでも、音色についてのレビューは少ないので人それぞれ見ている所が違う、という事だと思います。
人によって物の見方が違う、というのはどんな事にも当てはまる事です。他人が良いと言った事が、自分にも良いとは限りません。人は全く同じ価値観など持ちません。
また、人と同じ価値観を持とうとする必要もありません。皆それぞれ違う事に意味があるのだと私は思います。

試聴していくうちに、現実の音というのはCDの情報を忠実に再現するだけでは再現できないのだ、という事を知りました。しっかりと情報を再構築し、心を入れると言うのか、血の通ったものにしなければいけません。そこで徹底したヒアリングによる音作りが大切になるのだと思います。

音色を重視していると言いましたが、オーディオ機器ごとの空間表現の差異については殆ど分かりませんでした。試聴する店で、空間表現に優れたシステムで聴かせてもらっても、音の空間が広がっているという感触も無く、スピーカーから音が出ているとしか感じませんでした。その時はPRIMAREを中心としたシステムでした。
ただし、家のシステムで聴く分には、真正面に陣取って集中して聴くので、何となく楽器の位置が分かります。

多くの日本製品のように変な音色になるのであれば、hi-fiで無くとも耳に馴染むよう色付けをした機器のほうがずっと良いと思います。
現に、現実の血の通った音に近づけようと思えば、有機的な音にする必要があります。
その意味では、例え「色付け」であろうとも、人間の耳に心地良い音という方向性は、それだけではhi-fi志向であるとは言えないせよ、hi-fiを実現する上で不可欠な要素であると言う事ができると思います。

頭ごなしに日本製品を否定する事は避けたいと思っています。機器の物理的特性やパーツの品質など、工業製品としてのレベルは海外のものと比べて優れているらしいです。

私が良いと思ったMARANTZとROTELについてレビューします。

MARANTZ
午後の夕暮れ前の時間を思わせる、薄黄色の音色を感じます。
午後の日差しの黄色い光をイメージします。どの機種もそうです。つまり、「色付け」は感じますが、無機質な音色とは正反対です。余韻が綺麗に響き、躍動感もあります。滑らかな音質で、ヴァイオリンの響きが特に綺麗です。音楽的で、優雅な感じの音ですので、クラシックに良く合うと思います。広い空間表現が特徴らしいです。音像は小さいです。解像度が高い割に、音の密度もしくは芯が無いので、スカキン等と呼ばれるのを見たことがありますが、今は力感が向上しているようです。ただし、あまり詳しくは分かりません。
ROTEL
エントリークラス(10万円台まで)の機器の中では最もニュートラルな音色を持つものです。エントリークラスの製品でのレビューです。色付けは感じません。余韻があまり感じられず、直接音がやや目立つのが唯一の欠点だと思っています。アンプに関しては、力感があり、音の粒が丸く、芯があります。艶感もニュートラルです。私が持っているCDP、RCD-1520のイメージは、黒い空間です。何も無い宇宙空間のようなイメージが浮かびます。ソースを素通りさせるという製品のコンセプトを感じます。しかし、それゆえにやや無機質に感じるかもしれません。ただし、音作りはしっかり行っていると感じます。

私は、機器が出す音を色などのイメージで捉える傾向があります。ここで書いた感想については私自身のイメージですので、他の人が聴けば違う感想になるかもしれません。

その他、試聴したアンプのレビューを記します。

Myryad(ミリヤード) Z142
ニュートラルな音質ですが、音のざらつきを感じます。
艶感はあまりありませんが、乾いているという感じも無く、中庸です。音像が大きめで、音の厚みもあります。ただ、私としては音のざらつきが気になり、時に耳に痛く感じました。
Cambridge Audio(ケンブリッジオーディオ)のエントリー機種
myryadは現代的な、ニュートラルな音質に感じましたが、こちらは若干、色があります。音像をしっかり描きますが、やはりザラザラとした感じがあります。
creek(クリーク)のエントリー機種
CDPでの試聴です。こちらも若干ザラザラとした感じが有ったように思います。音色については白っぽい音としか感じず、詳細は良く分かりませんでした。
PRIMARE(プライマー)のエントリー機種
艶感があり、潤いのある音色です。艶感がありすぎる気もしますが、乾いた音色よりはずっと良いです。滑らかな音色である事は評価に値します。音場の上方に暗いヴェールがかかっているような独特の雰囲気があります。このため、ミュージックソースを選ぶような気もしなくもありませんが、良く分かりません。このような雰囲気で構わないのなら選択肢に入ります。

エントリー機種などとざっくりとしていますがご容赦下さい。
私は、音にザラザラとした感触が無く、滑らかである事を重視しています。
ザラザラがあると、古い音源の場合は特に、音割れがし易いですし、耳に痛く感じる事が多くなります。
音割れしている古い音源のピアノや、ヴァイオリンで聴いてみると良く分かります。
音の粒が丸い、ザラザラとしていない、いわば水の粒のような音を好みます。
また、音色だけでなく力感や躍動感が足りないと、リアリティというか、感情の起伏、説得力が足りなくなる様に思うので、ここも大事です。
国内メーカーのものは、情報を正確に描く事は出来ても、躍動感や音楽の説得力の面で劣るものが多いです。

スピーカーに関しては国産の物は少ないですね。
試聴はそれなりにしましたが、機器ごとの違いが良く分からない事も多かったです。
なのであまり詳しくは書けませんが、一応レビューしておきます。また、具体的な機種名は分からない事もあるので大体のイメージという事でご了承ください。また、少々古い情報です。

DALI
色付けをして心地よく聞かせてくれるタイプですが、雰囲気が良いと感じました。緑色(若しくは橙色)の音色を感じます。クラシックに良く合うと思います。万人向け。
B&W
CMシリーズは、金属的な響きがありますが、それが綺麗な高音に繋がっている面があります。ヴァイオリンの音色は以下のDynaudioに譲りますが、ピアノには合うのではないかと思います。力感、躍動感があるので音楽の説得力、実在感、エネルギーがあります。音場型で解像度が高いらしいですが、良く分かりません。音色のイメージはあまり湧きませんが、銀色の、薄い金属板を鳴らしているような音です。金属だからこその響きの美しさがありますが、同時に人によってはキンキンした音を感じるかもしれません。ちなみに廉価モデルの600シリーズは赤黒く粗い音色を感じさせ、良くありませんでした。
Dynaudio
Excite X12は、私が購入したスピーカーです。音の抜けが良く、変なクセも無く、バランスが良いと感じました。解像度が高く、クッキリと明確に音を出す感じがします。変なクセが無いので、ROTELと似て黒い空間をイメージします。こういった高解像度系のスピーカーは、痩せた神経質な音と隣り合わせなので、それを助長するようなアンプとは合わせない方が良いと思います。
FOCAL
音が籠って聴こえました。暖色系の音色です。それ以外には分かりません。
PIEGA
TS3(又はTMicro3)は、音の抜けが良く、変なクセが無く、バランスが良かったのですが、低音というか、力感が今一かなと思いました。小さいので当然ですが。綺麗な銀色をイメージします。

スピーカーについては大したレビューが出来ませんでした。
音の抜けが良く、モニター調のものが好みのようです。

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