アトピーについての経験と考察

2016/05/04

健康・自然療法

初めに

数年前からアトピー性皮膚炎に悩まされることになりました。
一番大きな問題は、痒いことです。
それで掻くと皮膚が酷い状態になります。

最初は瞼にのみ出ていたのですが、次第に体の他の部位にも表れるようになりました。
今では完治とまでは行かなくとも全く悩まされていない状態になっています。
色々と対応策を模索しながらやって来たのですが、その経験を他の人とも共有しようと思いました。
人それぞれ症状は違いますが、アトピーに悩んでいる方の参考になればと思います。

ステロイドへの抵抗感

初めは、ステロイドへの抵抗感などから医院の受診をしませんでした。
自分なりに試行錯誤して治せると思っていました。
そもそもアトピーの原因はあまり良く分かっていないので、医院を受診しても対処療法で終わる、つまりステロイド等の塗り薬を塗るだけで終わる、でも原因は解決されていないので一度治ってもまた再発するという事が繰り返される、と考えていました。
この考え自体は今でも変わっていません。

このように考えていたことから、体の内側からアトピーを治す事に注力しました。
その前から自然療法などの健康法に興味があり調べていたので、それらも参考にしました。
調べて見当を付けたのは、「アトピーの原因は胃腸の消化不良」であるという事です。

胃腸の消化不良と皮膚への影響

胃腸で適切に消化吸収されずに体内に入ったものが毒素として皮膚から排出されて炎症を起こしたものがアトピーであるという見解です。「リーキーガット症候群」について調べてみてください。
漢方では、胃腸(消化器)と肌(皮膚)は似た器官であると言われ、胃腸の不調が肌に表れるそうです。両者は体の内側と外側とに分かれていますが、口と排泄器官において繋がっています。皮膚は排泄器官としての役割があるそうです。

胃腸の不調を見抜くには肌の状態を見れば良いという事で、確かに、私はアトピーになる数年前から肌が弱く、乾燥気味である事を認識していました。
肌が乾燥気味のタイプの人はアトピーになり易いという事は、医学においても良く聞く言葉です。
実際は、肌が弱いからバリア機能が低下して外部要因に過剰に反応してアトピーが...というよりも、胃腸が不調だからそれが肌に表れ、アトピーにもなる、という事なのではないかと仮定しました。

今時の西洋医学の問題点は、原因があり結果があるという「因果」の関係をごっちゃに捉える傾向がある事であると思っています。「原因」があってその結果として「表れるもの」があるのに、しかし「表れるもの」自体を原因だと判断する傾向があるという事です。
外傷については原因がはっきりとしており、そういうはっきりとした原因に対処するための外科的手術は西洋医学では得意ですが、苦手な例の一つが精神病です。精神の病気の原因は脳にあるという説が今では常識ですが、これは因果を正しく理解していない見解だと思います。脳内部に物理的に起きていることは「表れ」に過ぎないと私は思っています。
物事というものは、本来一つの原因に端を発したものが、様々な次元に、違う形を取って、同時に表れます。一つの事に端を発したものが、様々なところに形を変えて表れています。それぞれが全く違う表れ方をしていても、元を辿れば同じ物であるという事が言えるのです。
そして「表れるもの」をいくら変えたところで元になったものは変わりません。
「表れるもの」を抑えようとしても、元になったものは存在するので、表れ方を変えて、また出てくるだけです。
私は、精神の病気は脳に現れるけれども、その原因は物理的な脳ではなく心の在り方にあると思います。

他には、健康に関する科学実験においても因果の混同が見られます。
例えば良くある話としては、この症状の患者にはこういう共通点、傾向が見られた。もしくは、こういう共通点、傾向のある患者にはこの症状が出やすい。だったらその共通点こそが症状の原因だ、という考え方です。
しかしこれは論理になっておらず、共通点は原因というよりも単なる表れに過ぎない場合のほうが多いように思います。
これは極端な例なので、これをしっかりと理解している科学者の方も居ると思いますが、現代医学の傾向としては表面的な表れの部分に関心が向きやすいということは言えると思います。

このように仮定すると、アトピーの部位に色々と塗るのは原因の解決にはなっていません。
プロペトを塗れば肌は潤うでしょうが、痒いままです。
それは実際そうなのですが。

実際に行った事

そこで、根治を目指すために胃腸を良くするため方法を含めて以下の事を試しました。
・生野菜を含めた野菜を摂る(食物繊維効果もある)
・長時間煮込んで消化を良くした全粒穀物(玄米や大麦)の粥を摂る
・柔らかい全粒シリアルを摂る
・ヨーグルトやプルーンを摂る
・加熱したバターや植物油脂はなるべく摂らない
・消化に時間のかかる、デンプン質食品(白米やパン)や動物性タンパク質、油脂は大量に摂らない
・ヒマシ油湿布
・運動(続かず)
・塩浴や炭酸マグネシウムによるデトックス

他にも色々とあったように思いますが、数年前の事なのでうろ覚えです。
これらの多くはエドガー・ケイシーのアドバイスを参考にしています。
アメリカの有名な霊媒師で、健康に関する事を含む様々なアドバイスを残しています。自分なりの健康の研究を行っていた時に参考にしました。
しかし、難解なところがあったり、万人向けのアドバイスが少ないこともあり、他にも参考にできる健康についての情報源があれば良かったのですが、現在のところあまり良い情報源が見つけられていません。
現在の医学や栄養学における健康についての知識は未発達かつ論理的ではない(因果を無視しており、表面的な事柄だけに関心を向ける傾向がある)ので参考にしていませんが、かといって他に良い情報源も見つけにくい状況です。

結論としては、これらの事を試しても、アトピーは改善されませんでした。
むしろ、色々と生活上の制限を加えることにより、ストレスが増す感じがありました。
特に食事に関しては、お菓子や好きなものを食べたいのに、食べたらアトピーに影響すると思って我慢していました。元々前からストレスで過食気味だったのですが、過食への罪悪感(体への悪影響が怖い)から、かなり努力して抑えていました。そしてまたストレスが強まるという悪循環だったのではないかと思います。
食事以外の方法でも義務みたいな感じになって、辛くても行っていました。
やらないといけない、という思いだったのではないかと思います。
ただし、上に書いたような事はある程度の期間実行していたので、実験としては途中放棄した訳ではありません。

医院を受診する

上記の通り試行錯誤している過程で、例え対処療法であってもステロイドで痒みを抑えた方が楽になるのではないか、と考えました。
根治への努力は既に行っているので、対処療法も精神的な安定剤になると思ったのです。
そこで皮膚科専門医でアレルギー科を同時に標榜している所へ行きました。
そこで言われたのが、大人のアトピーの原因はストレスである事が殆どである、という事でした。
その時に肌の乾燥も指摘されました。
確かにストレスが多い事は自覚しておりましたが、その時はアトピーの原因は胃腸の不調であると思っていたので、ピンと来ませんでした。
しかし、ストレスを改善出来ればアトピーが良くなるんじゃないか、という事は私も思っていました。同時に、そもそもストレスを改善出来れば苦労しない、だから困っているのだ、という考えがありました。

良く考えてみると、胃腸の調子にはストレスなどの情緒面が強く影響します。
その後、もしかしたら本当にストレスかもしれないと思うようになりました。

医院では弱めのステロイドとプロペトを貰いました。
ステロイドを塗ると、早い段階で痒みが消えました。
いつまでステロイドを続けるのか等の詳しい説明は受けませんでしたが、完全に痒みが消えた後に止めました。
また痒みは数日~1、2週間で再発するのですが、その時はまたステロイドを塗って、痒みが完全に消えたら止める、ということを繰り返しました。
痒みが消えてもずっと塗り続けると体がステロイドに慣れてしまい、効果が薄くなると思ったからです。このように自己流のやり方でやってしまいましたが、次第に再発までの間隔が長くなっていきました。
精神安定効果は高かったです。
アトピーを気にする時間が減りました。

その後

食事療法などの根治への治療は効果を上げられませんでしたが、痒みが軽減したことで大分楽になったと思います。
体のあちこちにアトピーが飛び火したのはその後です。
当初のアトピー発生部分である瞼は、ステロイドを塗らなくとも痒くならない程度になりましたが、その他の部位(耳の辺り、肘の外、脇の下)が痒くなってきました。
瞼ほどには引っ掻いても目立たない所なので、多少は苦痛の程度が低かったです。
前のステロイドが無くなったので、近くの別の医院を受診して中くらいの強さのステロイドを貰い、塗るようにしました。
瞼のようにすぐに痒みが引くような事はありませんでしたが、それでも楽になりました。

この時期は自分のストレスの強さに気付いていたので、それが原因ではないかとより強く思っていました。
食事をする時でも、罪悪感を抱きながら食べるのと、そうでないのとでは違います。
何事もそうです。
これではいけない、何とかしなければ...という思いがとても強いことを実感できました。
アトピーについてだけではなく様々な事についてです。
生活上の多くのストレスを抱えている時はそう思いがちですが、それが更により大きなストレスを呼び込むという悪循環に陥るのだと思います。

そこで、日常の中でどんな事をしている時であっても、今の自分を受け入れ、これで良いのだと思い、余計な事は考えずに今している事に集中するようにしてみました。
食事についてはストレスでお菓子類を食べ過ぎる傾向がありましたが、これをパンを沢山食べる事等に置き換えていました。そして、自分なりに出来る事は全てやっているのだから、これ以上の努力は必要ないし、今のままで良いのだ、と考えるようにしました。
空腹の時間が耐えられずに食事の間隔が短くなったり、夜中に沢山食べる、昼夜逆転の生活であると言った今の状況に罪悪感を抱く事を止め、それらを進んで受け入れるようにしました。

努力しても駄目なものは駄目だし、であれば今の状況を受け入れる方がずっと生産的です。
同じ事をするにしても、心の持ち方次第でがらりと変わります。
実際、それなりに変わりました。
生活の仕方は変わらず、一般的に良くないと言われているような生活習慣のままでしたが、精神的に大分楽になりました。
アトピーは次第に収まり、ステロイドを塗らなくとも気にならなくなりました。
完全に治ったわけではありません。

最近では、何か集中して取り組めるものの存在が大事だと考えています。
余計な事を考えない為の手段です。
余計な事を考えると、不安が心を侵食していきます。

逆に心配事などで目の前の事に集中出来ない時がありますが、不安だから集中できないのではなく、「不安で集中できない」と思うから、集中できないという部分もあります。
不安を呼びこむ頭の中のストーリーに囚われると、他の事が見えなくなります。
しかし、その不安を呼ぶ思考を冷静に見つめ、距離を置くことができます。

不安に囚われたと思ったらそれから距離を置くことを私は心がけています。なるべく考えないように、悩まないようにしています。
自分が集中して取り組める事があれば、それらの不安から距離を置く事の手伝いになり、気分転換になります。
とは言ったものの、自分でもそれらがしっかり出来ている訳ではありません。このような考え方が正しいのかも分かりません。
常に試行錯誤の毎日ですが、そのような生き方を受け入れる事もまた大事だと思っています。
アトピーの件も含めて、様々な問題に対する明快な解を出すことは出来ませんし、する必要も無いのではないかと思います。
一つ言える事は、何事も頑張らない事です。と言うと一般受けが悪いので頑張りすぎない事だと言い換えておきます。
自分にとって良い事を実践しようとしているうちに、頑張りすぎてかえって自分を追いつめているという事がありえます。

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