上手な文章とは、基本的には「相手に伝わる文章」のことを指すと私は思います。もしかしたら、この点は人や状況によって多少異なるかもしれませんが、一般的に上手な文章と言えるのは「相手に伝わる文章」だと思います。
文法や言葉遣いが完璧だとか、そういうことはあまり上手な文章の条件では無いと私は思います。
結論から言うと、上手な文章(相手に伝わる文章)を書くには、相手に伝わるように意識して書く、それだけです。
それを意識しているうちに自然とそういう文章が書けるようになると思います。
逆に言えば、文章が下手な人とは、「相手に伝える気があまり無い」人と言っても良いと思います。
私も昔はそこまで文章が得意では無かったのですが、ある時、「自分は心の奥ではあまり人に伝える気が無かった」事に気付いてから、人に伝えることを意識して書くようになりました。そうしたら短時間で明らかに文章力が上昇したように感じられました。
結局、意識の持ち方が一番大事ということです。
余談ですが、法律や税関係の文章は「相手に伝わる文章」とは対極にありますね。
「相手に伝わる文章」を書くことを意識している私から見ると、これらは酷い文章です。
しかしこれらは通常の文章ではなく、暗号に近いものだと思えば納得できます。一定のルールに則って解読する文章です。
つまり、解読方法を知らない一般人が読むための文章では無いのです。しかし実際は一般人も読む必要がある場合があるので困りものです。
次に、意識の持ち方だけを説いて終わりにしても味気ないので、具体的にどのような書き方が良いのか羅列してみます。
- 自分の常識で物事を考えない
- 自分にとっては当たり前、または大前提のことでも相手にとってはそうで無いことは多々あります。世の中には多様な価値観があります。「これは言わなくても分かってくれるだろう」という気持ちで書いても、分かってくれない事は多いです。
特に、あまり近しくない人が相手であれば自分の常識は脇に置き、情報の省略が無いように正確性を意識して伝えることが重要だと思います。 - 結論を先に書く
- これは良く言われることですが、私もこれを薦めます。
これは文章全体の流れの話ですが、一文の中にも当てはまります。日本語では、修飾語句がまず初めにあり、その後で主題が出てくる特徴があります。例えば、「~と~の場合を除き、~をする必要があります」というようにです。しかしこれは順序を変え、「基本的には~をする必要があります。ただし、~と~の場合を除きます。」というふうにしたほうが分かりやすいと思われます(特に修飾語句が長い場合)。また、今のように括弧を用いて後から補足説明するのも良いと思います。
英語では初めから一文で「You need to ~ except ~ or ~.」と出来るのですが...。 - 修飾語句が、どの言葉にかかるのかを分かりやすくする
- 英語でも日本語でもそうですが、修飾語句がどの言葉にかかっているのか分かりにくいことが多々あります。そういう時は、「」を使って一塊の文を明確にしたり、修飾語の順番を変えたり、読点(、)で分かりやすいように区切ったり、または複数の文に分けて記述すると良いと思います。長い文になるほど修飾関係が分かり辛くなります。
- 主語を明確にする(具体的に書く)
- 言葉には、主語を明確にしないと意味がはっきりしないものが多くあります。例えば「貸付金」という言葉ですが、「誰が」貸したお金なのかはそれだけでは不明です。自分が相手に貸したお金なのか、それとも相手が自分に貸したお金なのか分かりません。「貸付金」という言葉は必ずしも「話し手」から見て貸したお金のことを意味しない点が重要です。
一方で「貸したお金」という言葉はどうでしょうか。これは多くの場合、「話し手」から見て貸したお金を意味します。自分が借りたお金に対して、「貸したお金」なんて言いません。
つまり、「貸付金」という言葉よりも「貸したお金」という言い方のほうがより具体的で分かりやすいのです。「貸付金」のようにより形式ばった言い方のほうが抽象度が高いのです。このような形式ばった単語を多用する人は分かりにくい文章になる傾向があります。もちろん、形式ばった単語を使う時でもきちんと気を付ければ大丈夫です。 - 正確さも意識する
- 情報を正確に伝えることも重要です。良くあるケースは、例外が存在するのに例外があることに一切触れずに「~は、~です」と断定することです。例外について一々触れなくても良いので、「~は、基本的には~です」「~は、ほとんどのケースで~です」などと言うようにしたほうが良いと思います。
もちろん、これらが出来ていればそれで良いという訳ではありません。
分かりやすく、伝える意図を持って書く意識が大切だと思います。